遠山 正道

CATALYST株式会社スマイルズ代表

1962年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、85年三菱商事株式会社入社。2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。現在、「Soup Stock Tokyo」のほか、「giraffe」、「PASS THE BATON」「100本のスプーン」を展開。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。近著に『成功することを決めた』(新潮文庫)、『やりたいことをやるビジネスモデル-PASS THE BATONの軌跡』(弘文堂)がある。

株式会社スマイルズ代表:http://www.smiles.co.jp/

インタビュー ストーリー&おすすめホスト

『スープストックトーキョー』をはじめ、リサイクルショップ『パスザバトン(PASS THE BATON)』、ネクタイ専門店『ジラフ(giraffe)』、ファミリーレストラン『100本のスプーン』など、数々のユニークな事業を手掛けられている株式会社スマイルズ。今回はスマイルズ代表・遠山正道さんの、出会いと変化の物語についてお聞きしたいと思います。


 

ー遠山さんが手掛けられている事業は、どれも独立した存在で認知されていて、それが全部スマイルズの手掛けた作品ですと言われると確かに共通するところがあるかもという方が多いかと思います。そんな根っこを作られている遠山さんからはすごく強い芯を感じるのですが、まずはそんな根っこが生まれる前のことを少しお聞きしたいのですが、どんなお子さんだったんですか?

 

覚えているのは小学校6年生の時に白い麻のライダースジャケットとパンタロンのセットアップがお気に入りで良く着てたりダンガリーシャツにスカーフを巻いていたり、とにかく洋服が好きでしたね。

 

ーもう既に何か芯が芽生えてますね()

 

そうですね。芯というより「センス」みたいなものかな。センスがあるというのはジャッジがあるという言い方があるようで。センスが無いと、流行に寄ってしまったり。自分で選ぶことを楽しむというのは小さい時からあったと思いますし、小学校の時、友達の石川くんがダウンジャケットなるものを着てきたので、それ以来社会人になるまでダウンは買いませんでした。まあ天邪鬼というか。

 

ーいわゆる子どもらしい遊びとかはどうだったんですか?

 

小学校ではね、切手を集めている人とか多かったんですが、私は全然興味がなかった。ただ今になって思うと、もし切手が趣味だったら自分がやる店の壁を切手で埋め尽くす、なんてことができたのにと思うとやっておけばよかった。笑 まあ、手品はかなりマニアな世界で、人を驚かせたいというのは今に繋がっているかもしれません。

 

ーその頃って夢は何だったんですか?

 

私の住んでいた場所の近くに24時間やってるアメリカンなスーパーがあったんですね。そこで、当時ではまだ珍しかったコーンフレークが壁のように並んでいて、それが大好きになって。だから、将来はコーンフレーク屋さんをやりたいっていうのが夢でした。スープ屋さんとコーンフレーク屋さんって、かなり近いでしょ?

 

ーそういわれれば遠くない気がします()

 

新しいことへの体験とか、いつかやってみたいこととか、いっぱい埋め込んでおくといいですよね。色々な困難や自信を失った時、外に言い訳をつくるのではなく、自分の内側に理由をもっていたいので。

 タイルアート

 

ー遠山さんは色んな体験をされていそうですが、想い出に残っているものでどういう体験がありますか?

 

10年ぐらい前かな、娘と2人でコンテンポラリーダンスのワークショップに行ったんです。もちろんダンスなんか全然経験なかったんだけれど。

 

ーなぜやってみようと思ったんですか?

 

アートへの憧れみたいなのはずっとあって。なんとなくそんな感じで興味があったかな

 

ーやってみて10年経って、今に活きているなとか思うことはありますか?

 

その時は、小学生も年寄りもいて、チームを組んで3日後に何か演目を演じることだけ決まっているのですが、何の指示もない。じゃあ、リーダーを決めてみますか?と小学生と年寄りと話したりして。要するに自分たちで決めていかなくてはいけない、という当たり前のようなことがとても新鮮でした。それから、その時の先生と10年来の親友になれたことかな。ちょうど昨日も会っていました。それだけでも、価値は十分にありますよね。

 

ーそうですね。先程おっしゃったセンスもそうですが、コンテンポラリーダンスのワークショップというものに出会うアンテナもなかなかないなと思うのですが、どうやって感度を高めていらっしゃるんですか?

 

感度というか、自分なりの出来事やきっかけがあるといいですよね。以前中学校で講演させていただく機会があって、将来やりたいと思うことを100個書いてみたらいいよっていう話をしたんです。100個もあれば、将来それが時限爆弾とかタイムマシンのように、自分の中の理由として役に立つことがでてくるかもしれない。先程の切手の壁のように。何をやるにも未来は不安で、それを過去の自分の出来事で理由をつけてあげる感じです。中学生に100個と言いましたが、55歳の私でも遅いことはなくて、自分でも書かなくてはですね。

 

ー学生に伝えるだけではなく、自分もやってみるよって添えるのが遠山さんらしいですね。そんな遠山さんにとって、転機となった大きな体験は何ですか?

 

サラリーマン時代に個展をやったことですね。このまま定年を迎えても満足しないだろうということはわかって。雑誌にイラストなどは描いていましたが、本格的に絵を描いたことがない状態で1年後に個展をやる場所を予約したんですね。そこからタイルで作品作りをして。そこに至るまでに得たエネルギーが大きくて、また行動したこと自身に意味があった。そのエネルギーや行動がスマイルズの創業に繋がっていったんです。

 

 個展

 

ー論理的には関係性のなさそうな体験ですが、そのエネルギーが大きかったんですね。

 

そう。合理的に説明できないんですよね。でもそれがむしろ良かった。合理的なものって、合理的なものに打ち返されるけど、そういうものを超えた、説明すらできないようなことだった。その時は中途半端なことはできないなって、すごく大変でした。仕事を疎かにしたら何やってるんだって言われるし、高給取りが趣味でやってると言われたくないからちゃんと利益がでるところまで売れたいし。大変困難な道だったけれど、未来に向けたことは、驚くほど色々な人が協力して下さって。

 

ー例えば取り組む内容っていうのは、今やっている仕事や自分の過去と繋がらなくてもいいんですか?

 

自分の中にあることであれば、好きか嫌いかでもいいと思います。その自分の理由が後で効いてくる。私には元々専門性がないんです。 美味しいスープを作れないし、ネクタイを縫うこともできない、古物商の知識があるわけでもない。だからこそ自分のことを片手で握りしめて、もう一方で色々なことと掛け合わせていく。

 

ーそれを考えるのに必要なことって何ですか?

 

周りの意見とかではなくて、自分のやりたいことを見つめて、それがどうしてかを何度も自分で考えてみる。その上で、自分に素直になることでしょうか。背伸びはしつつも、無理がない状態というか。

 

ー最後にこれから新しいことに挑戦しよう、変わろうとする人たちに何かメッセージをいただけないでしょうか?

 

つまらない仕事というのを大事にしてほしいですね。立派な仕事って上司のハンコが必要でしょ。そうではなくて、周りも大して期待もしてないし、認識してすらないような仕事。そういうものは自分で判断してやれるってことですよね。そういう仕事を面倒だと思うのではなく、よーし、いっちょ楽しくやってみるかって。アイデアと行動力と勇気を持ってやってみる。それが自ら考えて行動するクセになっていく。最後は、やっぱり行動。行動には、神さまがおまけをつけてくれますよ!

 

ーありがとうございます。遠山さんの物語を聞けてとても楽しかったです。これからもスマイルズさんからもっとたくさんの作品が生まれてくるのではとワクワクしました。これからの活動も楽しみにしています。

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